2023.11.10

コラム

土地売却

徹底解説!空き家問題

令和5年改正空き家対策特別法についてとその対策案

今回のコラムでは、何かとニュースになる居住世帯のいない、いわゆる空き家についての解説とその土地の有効活用について解説したいと思います。

平成30年の調査(5年毎)では、全国での空き家は、849万戸となっております。5年間での空き家増加率は1.92倍で、長期放置の空き家は、その内の349万戸に達してきました。

これは、実に全空き家数の40%になり、いわゆる活用の目処が立たない空き家です。

全体の空き家数も今後10年間で1,500万戸に達すると言われており、「空き家率」は13.6%になり、実に7〜8軒に1軒の割合で、空き家があると言う大きな社会問題となってきました。

きちんと管理されていない空き家は様々な問題が発生しており、今回の改正空き家対策特別法が施行されたということになります。

さて、令和5年改正空き家対策特別法が施行された背景はわかりましたが、いったい何が変わったのかを解説したいと思います。

変更点は4項目です。

 


 

法改正の4つのポイント

1.「空き家等活用促進区域」制度が創設され、建築基準法等による接道や用途の規制緩和
 → 
建替えをあきらめた所有者も今回の法改正で建替え新築可能となる場合があります。

2. 市区町村が空き家の活用や管理に精通した団体を空家等管理活用支援法人に指定
 → 
民間活力で建替え支援を促進するもので、是非相談したい法人です。

3.「特定空き家」の前段階に相当する「管理不全空き家」が新設され、当該空き家の敷地に係る固定資産税等の住宅用地特例が解除され、所有者は空き家にかかる税金軽減が受けられなくなる。
 → 
「管理不全空き家」の指定が新設されたことです。24万戸以上あると推定しております。「管理不全空き家」に指定されると固定資産税の減税から外れますので、空き家の利活用を促進することになります。

4. 自治体から所有者への強制力として、報告徴収権が付与され、緊急時の取り壊し代執行や所有者の財産から強制的に費用を徴収することが可能
 → 
TVで見かける廃墟化した空き家。その中には管理が行き届かず、倒壊の恐れがあったり、衛生的に問題があったり、著しく景観を損なっている状態のようなリスクの高い空き家もあります。このような空き家に対して強制執行・徴収が可能となりました。

更に改正空き家対策特別法とセットで、令和5年度税制改正も行われました。内容は、以下2つのポイントです。

1.「空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除の特例(空き家の譲渡特例)」が4年延長になり、適用期限が令和9年12月31日まで

2. 令和6年1月1日以降に行う譲渡については、耐震リフォーム・除却要件が緩和され、相続人等が3人以上いる場合は特別控除額の上限の減額

改正空き家対策特別法と税制改正の内容に沿って所有する空き家の利活用を促進することが目的ですね。

では、空き家の利活用は何をすべきでしょうか。

 


 

相続などで譲り受けた空き家をお持ちの場合「家は空き家で更地にするよりも税金がかからないからしばらくはこのままで」とお考えであると、今回の法改正で家屋の状態によっては「特定空家」「管理不全空き家」に指定され、当該空き家の敷地に係る固定資産税等にペナルティが課されることになります。

そのための空き家対策として、売却や賃貸、更地化しての利活用が考えられます。

利活用の4パターン例をあげます。

 

1.売却
そのまま売れれば良いのですが、建物を解体して更地にしないと売れないケースが多いです。また、複数名義人の場合には、全ての承諾が必要となるなど、障壁が考えられます。

2.賃貸
空き家をリフォームして賃貸物件とします。空き家の状態によっては、大きなリフォーム費用が必要となる場合があります。空室率との投資効果の判断が必要となり、専門家のアドバイスが必要です。

3.更地→駐車場経営
空き家を解体して更地にして駐車場経営する。駐車場はあらゆる土地活用の中で比較的初期費用を抑えられる傾向にあるためリスクが少ないと考えられています。また撤退を速やかに行えることから次への展開も容易に移行できます。解体と駐車場造営・運営を同じ業者に任せることで必要経費とリスク、投資効果のシミュレーションを業者と相談して判断することができます。

4.更地→その他土地活用
駐車場経営以外にもコインランドリー、トランクルームなどが一般的に考えられます。

 

さて、あなたなら1~4のどれを選択しますか?

固定資産税の見積や減価償却についての疑問もあると思いますので、知りたかった内容を業者にぶつけることが重要です。
信頼できる業者ならば、1~4の判断や、空き家の固定資産税が改正法でどれだけ増えるのか、更地にした場合に固定資産税はいくらになるのか、投資効果等を親身に計算してアドバイスをもらえます。

 

空き家対策は身近な必須アクションとなってきました。
時期を逃さず対応を促すことが、今回の改正法の狙いです。

 

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